【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜

「瑛飛さんは、うそつきです」


また、敬語に戻ってしまったけれど、この際そんな事はどうでも良かった。


「水美、話は会ってから、ちゃんとしよう?」

「ずるいです」

「水美…なぁ…」

「ずるい、大人って…」


彼の声を聞いて、会話をし出したら…嫉妬している自分がとても可哀そうになってしまった。
震える声。
でも……。


「瑛飛さんのばか」

「うん」

「瑛飛さんのうそつき」

「うん」

「瑛飛さんの浮気者」

「うん」

「瑛飛さんなんか…」

「うん…」


私の言葉に小さく頷くだけの彼。
それがまた、癪に障った。
言いたい気持ちを形にする言葉が見つからなくなって、押し黙るとまるで掻き抱くような、必死な声が、返ってきた。


「水美が俺を嫌いでも、俺は水美の事を愛してる」


と…。

< 141 / 216 >

この作品をシェア

pagetop