【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「水美……」
「ばか。人が見てるのに…」
「見てたって構わないよ…それで水美が戻ってくるなら…全然気にならない」
「瑛飛さんなんか、知らないんだから…」
ぽすん
照れ隠しに、彼の腕の中に収まると、彼は私の背中を撫でて、「帰ろう」と言って来た。
それに私は黙って頷く。
ぽんぽん
彼が私の頭を撫でる時は、大抵私の気持ちを読んだ時。
それが酷く愛しくて…堪らなかった。
それ以降、黙ったまま手を繋いで、電車へと乗り込んだ。
言葉はなかったけれど、恋人握りをした手にきゅうっと力を込められる度に、好きという言葉が沸き上がった。
到着したのは、勿論…彼の部屋。
がちゃんっと少し乱暴に閉められたドアに縫い止められ、そのまま熱を孕んだキスを受ける。
もどかしいほど熱くて、泣きそうになるくらい愛情に満ちたキス。
呼吸もままならない程、せがまれて目の奥がチカチカしてきた。
「水美…」
欲情に濡れた声。
それだけでも、体がしなってしまう。
でも、彼はそれ以上の事をしようとはしない。
なんで…?という視線を投げたら、瞼の上に軽いリップ音を立ててから、
「水美とは、ちゃんと籍を入れてから愛し合いたい」
と、皇帝様らしからぬ答えが返ってくるから、驚いて大きく瞳を開けてしまう。