【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜

「……そんなにおかしいか?」

「だって…瑛飛さんらしくないって、いうか…」

「俺は何時だって自分にうそはつかない主義だって」

「でも…」

「こういう事をちゃんとけじめ付けたいって思わせてくれたのは、水美…お前だけだよ…」


じわり


彼の言葉に涙が出てしまいそうだった。
そんな風に、真剣に私との事を考えていてくれているなんて、思ってもみなかった。
…そこまで、信用出来てなかった。


だけれど、まだ問題は何一つとして解決していない。


「玲香さんは、瑛飛さんの元カノですか?」

「んー…彼女というか…遊び相手の内の一人かな」

「……てことは、他にも沢山いるんですね?」

「もう、過去の話だよ。今は完全に水美だけ。俺は水美だけのもの」


大袈裟に両手を広げて彼は言う。
それが、どこか海外のコメディアンぽくて、おかしい。


「……じゃあ…」

「ん…?」

「なんで…玲香さんは、知ってるんですか?」

「何を?」


聞きたくない。
聞きたくない。
でも、今聞かなければきっと駄目になる。
だから私は少し俯き加減で切り出した。


「会社…辞めちゃうって…」

「……な……んで知って?」

「……やっぱり、本当なんだ…」


ジト目をすると、彼は参ったという顔をする。


「本決まりじゃない。だから、ウワサにも上らない。別に隠してたことじゃないんだ。それに……」

「それに…?」

「水美の事でいっぱいで、今はそんな事考えられない…」


この人は本当にずるい人だ、そう思う。
ヤキモチを妬かせるだけ妬かせて、それを楽しんで。
私からもっと気持ちを言葉にして引き出そうとしてくるのだから…。


「もう、瑛飛さんなんか……」

「嫌い?」

「大好きなんだから!」

「くくく、俺も好き…ってか、愛してるよ」


そう言って頭をまたぽんぽんと撫でられ…私は観念して瞳を瞑った。


もう、離れないという気持ちを込めて、彼を抱き締めながら。

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