【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
そんな事を思い返して、コーヒーメーカーがドリップし終えた事を知らせる音共に、私はふるふると首を振って、皆の分のコーヒーを早々に淹れてから、彼へ差し入れる為のコーヒーを乗せたトレイを持って、第二会議室まで歩いて行った。
どうせ、コーヒーを置きに行くだけだから…と。
がちゃり
「失礼します…って…あれ?」
「おー…久倉、さんきゅ。俺、お前の淹れたコーヒーが一番好きなんだよね〜」
にっこり。
そのままCMに出られそうな程の、爽やかな笑みを向けられて、顔が赤くなりそうだった。
それをなんとか堪えて、私はお礼を言ってから…ふと会議室に彼以外の誰もいない事に気付いた。
「あ、…ありがとうございます…って、まだ補佐だけ、なんですか?」
「んー…?そ、まだ時間あるから。俺は資料の最終チェック中ー…」
「それ、…お手伝いしましょうか?」
なんで、そんな事を言ってしまったのか、分からなかった。
皆のコーヒー冷めちゃうのに。
だけど、ただ、純粋に…役に立てればいい、それくらいの気持ちでそんな言葉を口にしてしまってた。
私の唐突な言葉に、彼はちょっぴり驚いた顔をした後。
嬉しそうに、にこにこ笑って、隣を指差す。
「まじかー…じゃ、お願いしちゃおっかなー…久倉、こっち、来て?」
「あ、はい!」
そう手招きされて、私は素直にその声に従って…しまう。