【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「なーんで、そんなに困った顔してんの?」
「…してないし」
あれから、彼に実は海外への引き抜き話が持ち上がっていることを聞かされた。
彼は、やっぱり根っからの仕事人間だから、その話にYESと答えようとしている。
それは、口にこそしないけれど…。
今…1番近くにいる私には痛いくらいにお見通しだった。
本当に、彼を知れば知るほど…嫌いになれたらいいのにと思う。
他の誰かがいたらいいのにと。
だけど、そんな風にはっきりと表立てないのは、それだけ彼に溺れているから…。
「水美?…何考えてんの?言ってくんなきゃ分かんないだろ?」
「…瑛飛さんは、何時まで経っても狡いなぁって思ってるだけ」
「何それ?」
「分からないなら、いいの」
疑問符を頭の上辺りに散らす彼の肩から、私はスッと降りてにっこりと微笑んだ。
ちょっとした嫌味も込めて。