【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
かちゃん
椅子の金属の軋む音が微かにする。
私は彼の隣に座り込んで、彼の手元にある資料を覗き込んだ。
相変わらず、綺麗な手。
そこに加えて…。
「補佐の腕時計って、アンティークですか?」
「あぁ、これ?貰いもん」
「…へぇー…」
スラッとした手首に嵌まった、その腕時計がまるで生まれ付き、備え付けだったんじゃないかと思う程、綺麗に収まっていて、ときめく。
だけど、それが貰い物だと言う事に、酷く落胆した自分がいた。
確かに、そういう物を貢いで捧げる女性は、彼程の人材ならば幾らでもいるだろう…な。
そこまで思考が落ち着いた所で、私はその手の下に置かれた、資料に描かれた円グラフへと視線を落とした。