【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
その後、そのまま食事をと誘ってくれたご両親の言葉を丁重に断って私たちは彼の実家を後にした。
二人の間には、何か言い様のない高揚感が漂っている。
私はなんとなく、今夜が忘れられない夜になるんじゃないかと、そんなことを思って…今度は違う意味で緊張をした。
結局デリバリーを頼むことにして、部屋に戻った私たちは、いつものようにソファーに身を沈めて寄り添っている。
この時間がなくなってしまうんだな…。
そう思うと、やっぱり寂しいし…切なくなる。
なんで、離れなきゃ、ならないのか。
それは、さっき自分の中できちんと線引きした。
だから、それで後戻りをしようとは思うわないけれど。
一抹の不安は、どうしても拭えない。
それは、私は彼を…。
そこまで考え悶々としていたら、彼から声を掛けられた。
「…水美?」
「…はい…?」
「愛してるよ。…凄く愛してる」
「…うん…知ってる」
掻き抱くような声。
セクシャルに濡れた声は、私をどこまでも甘やかす。
「水美は?」
「分かってる癖に…意地悪」
「苛めたいわけじゃないよ。ただ水美の言葉で聞きたいんだ…」
「……好き…だけじゃ、駄目?」
「駄目。それ以上が、欲しい…」
今夜の彼は、まるで駄々っ子のようで、いつもは逃してれる筈のやり取りも、ぎゅうっと抱き締められることで制される。
「もう…ばか、好き…愛してる…」
「…そっか…」
「ちょ、何その反応?ちゃんと私言ったのに…」
薄い反応に対してぷくっと頬を膨らまれると、彼はそこを撫でて、違う違うと笑う。