【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
新しいミライ
そして、彼がニューヨークへと旅立ってから一年。
最初の3ヶ月は、本当に死に物狂いの日々が続いた。
なんせ、彼の抱えていた案件は膨大で、毎日それこそ総務の人に「ノー残業!」と止められ、警備員の人からは「時間守ってくれないと」と怒られるほど、やらなければならないことが多かった。
勿論、彼の的確な引き継ぎのお陰で、大体の道筋は理解していたけれど…。
それは所詮彼の手法でしかなくて、そのままを私が背負えるわけではなかったから、その辺は仕方がない。
私は、彼を見送ってから、彼の言う通り自分のアパートを引き払った。
そして、迷うことなく、彼の部屋へと引っ越した。
待つと決めたからには、まず形から…。
そう意気込んだ私へ、彼は楽しそうに微笑んで、この部屋のカードキーを渡してくれた。
スペアじゃない方の、キーを。
「俺が帰ってきた時に、水美が部屋にいるって想像するだけで、なんか萌える」
「へんたい」
「煩いよ?」
そんないつものやり取りの間にも、彼はぽんぽんと私頭を撫でることを止めない。
「いつも思うんだけど…それ、癖なの…?」
「んー?何が?」
「こーれ!頭ぽんぽん。するの、好きなの?」
「あー…これ?これは、水美見てると自然としたくなるんだよ…水美限定。…嫌?」
「…嫌じゃないよ?」
「じゃあ、問題ないな」