【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「誰か…ほんと、助けてよぉ…」
誰にも届かない小さな呟き。
それは、此処が廊下だと言う事もあるけれど。
課の皆は、彼が私を構っている間は、自分の所に雷が落ちない事を十分に心得ているから…下手に庇う事はしない。
それをして、彼の逆鱗に触れる事が目に見えて分かっているから。
…。
そこまで考えてから、はた、と思った。
そうだ。
なんだって、彼は私を気に入ったのか…?
本当に身に覚えがない。
というよりも、今まで「気に入った」なんて、そんなキーワードさえも出て来なかったんですけども…。
「鬼の撹乱…か?…んー?なんか違う?」
私は、こそこそと呟いて、給湯室へ一度戻り、皆のコーヒーを持ってから自分のデスクまで戻って行った。
その様を、彼が会議室の窓からずっと楽しげに眺めていたとは露知らず。