【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「あ、水美センパイ、コーヒーありがとうございます」
「え、あぁ。温くなっちゃったね。ごめん」
「いいです。いいです。補佐の所に持って行ったんでしょう?」
ニコニコと笑顔で話し掛けてくる彩良ちゃんに、私は心から困った顔をした。
「ほんと、ごめん。もー…あの人なんなの…」
がっくりと項垂れると、ケラケラと彩良ちゃんは笑った。
「まぁ、そういう水美センパイだからこそ、いいんでしょうけどね!」
「はぁ…?」
「そーれより!見て下さいよ〜!この新商品!素晴らしくありません?!」
そういう彼女のデスクには、溢れんばかりの商品が所狭しと並んでいた。
「わー!凄ーい!あ!これ、これこれ!廃盤するって言ってたやつじゃない?!残ってくれるのー?!やだー!私このフェースパウダーお気に入りなんだよね〜!嬉しい〜」
そうやって、心底嬉しそうに、そのフェースパウダーのケースを手に取って呟く私に、彩良ちゃんは何処か楽しそうに…でもちょっぴり意地悪く私にウィンクして見せた。
「なんでも、補佐が上に掛け合ったらしいですよー?補佐の愛って凄いですよねぇ…」
「そうだね!あの人の仕事に掛ける愛情は、深海より深いと思うよ!」
そんな風に返す私に対して、彩良ちゃんはその愛らしい瞳を、数回パチクリとする。
「……ん?私なんか変な事言った?」
「いやぁー…水美センパイって、ほんと、無敵…」
「は?」
「いーんです!センパイは、絶対にそのままで居て下さいね?!変わっちゃ駄目ですよ?!」
「えぇ?!あ、うん、…はい?」
力説する彩良ちゃんの、その言葉の意味が分からなかったけれど、私は勢いに負けて頷いた。