【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
マイスターの受難
狭っ苦しい給湯室。
シュンシュンと沸くやかんのお湯の音。
取り寄せたばかりの新茶の瑞々しい香りと、コーヒーメーカーから流れ込んで来る、どこか大人の匂い。
それが混ざり合って、なんとも心がホッとしてしまう。
そんな場所で、俺はいつものように、部下である彼女…久倉水美の頬を思う存分に堪能していた。
それに対しての大きな不満の声。
「補佐っ!やめてくださいってば!」
「いいじゃん。減るもんでもないし?」
「減りますっ!減るんですっ!」
「そう、キャーピーキャーピー言うなって」
「………っ」
ぽん
頭を撫でると、途端に黙り込む。
その少しだけ朱に染まった顔が見たくて、こうやって毎日毎日、暇見つけちゃ…あ、いや、暇を作ってまでも、ちょっかいを掛けていると言うのに。
当のご本人様は、難しい顔をして…俺の事を真剣に睨み返してくる。