【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「はじめまして…」
と、差し出した手に、彼女はにこにこと笑顔で俺に応えてくれた。
ただ、何を勘違いしていたのか、俺が彼女よりも年下だと思ったらしく、とても気兼ねのない対応が続いた。
俺は、それがとても新鮮で…なんとなく嬉しくて、そして今更訂正するのも面倒くさかったので、そのままにしていたのに。
誰の入れ知恵か知らないが、ある日を境に「課長補佐とその部下」になってしまった。
これは、頭が痛かった…。
誰だ、良好な関係に水を挿した奴は。
そう、影の見えない相手に恨み節が浮かぶ。
折角、上手い事築けそうだった、仲良しプロジェクトが台無しになり、一からの仕切り直し。
その鬱憤を晴らすのも兼ねて、俺は今日も課内のメンバーに大声でゲキを飛ばす。
的確に、そしてなるだけ穏和に。
頭ごなしに怒鳴り付けたって、人間なんざ萎縮するだけだ。
やろうと思えば幾らだって厳しく出来る。
わざと周りに自分の失態を聞かせるように仕向けて、尻を叩く事だって、ガミガミ嫌味を付け加える事だって…。
けれど、それは俺のポリシーに反した。
「補佐…?」
「んー?」
そんな中の俺のオアシス。
どれだけの激務に追われても、彼女の存在だけで、癒される。