【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
言われなくても、必ず俺のものにする。
…でも、けして無理強いはしないと決めているんだ。
向こうから、堕ちてこなけりゃ意味がない。
だって経験値の桁の違う俺から、根こそぎ奪って欲しいなんて…彼女は願う質じゃないだろ。
今はまだ信じてもらえてないようだけど。
当然、此処からは本領発揮、アクセル全開にして、俺の存在を彼女に植え付けていこうと思うけれど…。
少しでも、自覚してもらえるように。
少しでも、俺を異性として感じるように。
そんな営業部からの帰り道。
俺は、ファイルを山程持った彼女に遭遇する。
「何だ、久倉。どこ行くんだ?」
「え…あ、ほ、補佐?」
目の前が全く見えていないのか、その歩くさまはふらふらしていた。
「ばかやろ。ほら貸せ」
「え?えぇ?!あ、ちょ、ちょっと!」
「お前は箸よりも重いもの持つな」
「な!なんですかー!?それー?!」
スッと手を伸ばして彼女の腕からファイルを掬い取ると、片手で持ってそんな事を言った。
俺の台詞はどうやら、彼女にとってはからかいの延長線上にしかないようで…。