【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「…………うそ」
「嘘とか言うな。冗談でお前を構うほど、俺だって暇じゃない」
「………絶対に、うそ」
「あのなぁ……じゃあ、どうしたら信じるんだ?」
「……そんなの、分からない」
「泣くな、水美…」
「…っ」
「過去がどうであれ、俺が全部上書きしてやるから。全部、俺で埋め尽くしてやるから…」
甘い睦言。
縋るように、彼女の髪にキスを落とすと、彼女は真っ赤になる。
「可愛いな」
「補佐は…」
「俺は…?」
「チャラいです!」
ぺちん
痛くないくらいのビンタを食らって、思わずパチクリと瞬きをした。
「…なんで?」
「わ、私…まだ、補佐の事信用なんてしてませんからね!」
そして、散らばったファイルもそのままに、彼女は資料室から出て行ってしまう。
「……ほんと、一筋縄じゃいかねぇな」
くすり。
叩かれた方の頬を、痛くもないのに擦って。
俺は彼女の代わりに散らばったファイルを棚に戻した。
これで、まぁ…第一関門突破、か?
少しは頭の中に俺という存在を受け入れてくれよ。
まだまだ続く、俺の受難。