【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「あー…極楽」
「やっぱり訂正します。何処のオヤジですか、てかおじいちゃんですか」
「お前ね…少し黙ってろ。ほら…」
極力下を向かないように、していたのに…。
その小さな抵抗は、彼が私の後頭部をゆっくりと傾けた事で押さえられてしまった。
じっと見つめ合う、この瞬間は果てしなく愛しい。
だけど、彼のこの人の気持ちを見透かすような瞳は、とても怖いように感じる。
「そう、怯えるなよ…傷付くだろ?」
「補佐が」
「瑛飛…だ」
「え、瑛飛さんが、意地悪するから…」
「してないよ。こんなに大事にしてるだろ?」
「も、もう!」
「いいから…少しこうしててくれよ。そしたら、疲れも吹っ飛ぶ」
そして、掠められたキス。
彼はそのまま、瞳を閉じてしまう。
私はどうしたらいいのか、全くわからないまま、彼のその瞑った瞳を見ていた。
………。
それが、今…足が痺れる程前の、話。