【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
1時間しても、彼は起きなかった。
それどころか、本気で眠ってしまったらしく、私を枕に寝返りまで打とうとする始末。
そんなに動かれたら、スーツのスカートがぐちゃぐちゃになってしまう。
何度も慌てて、声を掛けるも、寝言の「あと少し」で却下される。
だから、仕方無しに私は囁くように彼の名前を呼んだ。
「え…瑛飛さん、起きて…」
「ん…」
「瑛飛さん、瑛飛さん…私足、痺れました」
「んー…」
「えーいーとさーん…」
「…くすくす…水美、可愛い…」
「!!お、起きて?!」
「そりゃー。好きな奴にあんな可愛い声で名前呼ばれたら、起きるだろ、普通?」
だったら、早く退いてください…。
そう項垂れながら、ジンジンする足をどうにかしたくて、もじもじしているとフッと頭の重みがなくなった。
あぁもう…。
くっついていると、恥ずかしくて嫌なのに、離れると寂しいとか訳が分からない…。
私は自分の足を擦りながら、恨めしそうに彼を見た。
そんな私を見ても、たじろぐ事なく、彼はしめたとばかりに、こう提案して来た。
「足が痺れるほど尽してくれたんだ。送ってくよ」
と…。