【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「…あの、…あの、あの?!」
「あぁ、そこの君。櫻井を呼んでくれ。大原だと言えば分かる」
軽くそこにいた店員さんに声を掛ける彼。
店員さんは彼の言葉にぺこりと頭を下げると、
「かしこまりました」
なんて満面の笑みを零して奥に行ってしまう。
「ほ、え、瑛飛さん?!」
「なんだ?」
「ま、さ、か…魔法って…」
「んー…お前さん、ヒールいつも何cm?」
「え?あ…6cmですけど…?」
「よし、じゃあ、これだな」
ぜんぜん人の話を聞こうともしない…というか、人の質問をスルーしてる。
こういう大人は…ほんとに狡い!
文句を言おうとして、口を開き掛けると奥の方から、ビシリとダークグレーのスーツを着込んだ、とびきりの美女が現れた。
彼女は彼を見るや否や、恭しくお辞儀をしてニッコリと微笑み掛けてくる。
「大原様、いらっしゃいませ」
「ああ、櫻井。こいつに魔法を掛けてやってくれ。最上級のな」
「ふふふ…大原様のご注文でしたらなんなりと。さ、此方へ」
私はその櫻井さんという店員さんに、あれよあれよという間にフィッティングルームへと連れて行かれてしまいそうになる。
私は慌てて必死に、それを止めようとするけれど。