【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「大原補佐って、怒った顔見たことないですよねー」
そんな風に言うのは、歳の近い後輩の神田彩良(かんださら)ちゃんだった。
「ま、穏和が売りなんじゃないの?」
私は至って平静を装って返す。
この課に配属になってから、私は何故か彼に目を付けられ…。
気付けば補佐の下僕…ならぬ、最早その辺の秘書というよりも、言わば側近のようなもんである。
ーー同じ課で…良かったと心底思う。
じゃなかったら、片想いで溺れ死にそうだーー
その想いを知ってか知らずか。
多分、無意識で卒なくこなす彼からしたら、思い切り後者に当たるのだろうけれど…。