【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「水美…」
「早く…車に…人が見てます…」
「見てても、構わないけどな」
「私は、構うんですっ」
「照れ屋だな、水美は」
ぽんぽん
頭を撫でられて、次の言葉が出せなくなる。
これを、天然無意識でやってるんだから、質が悪い。
いくら心臓があっても、こんなんじゃ、たまったもんじゃない。
「はぁ……」
「溜息吐くなら、その分俺と一緒にいろよ?滅茶苦茶幸せにしてやるから…」
「誰が吐かせてるんですか!」
「まーた俺のせいなの?そんなにいうなら、本気で責任取るって」
「や、」
「こーら。逃げるな。水美。俺の事見てみ?」
「……っ」
「目の前にいるのは、お前の事が好きな、ただの男だよ…けして、お前を傷付けたりしない…一途な男だ」
「一途かどうかは分かんない…」
「…そういうなら、付いておいで…俺の全部を見せてやるから…」
そんな切なさそうに見られたら。
熱く強請られてしまったら…。
「…は、い…」
それに従うしか、もう術がない。
私は囚われた、小鳥になった気分だった。