【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
マイスターの戦略
45年生きてきて、女に不自由したかと言われたら、それは完全否定出来る。
でも、別に自分から好き好んで渡り歩いて来たわけじゃない。
そりゃ、男だからある程度はステータスになるかもしれないし、その分の貫禄や色気は付くかもしれないけれど。
「遊ぶ余裕も与えてくれないのが、お前だよ…」
「んー…」
ぷにぷにと頬を摘んでも、俺の腕の中にすっぽり収まって眠っている彼女からは、なんの抵抗も与えられなかった。
今年初の雪が嬉しかったのか、それともニシン料理が余程気に入ったのか…はたまた俺との時間に興奮してくれたのか…。
それを確認する前に、彼女は先に熱いシャワーを浴びると、ソファーで丸くなって眠っていた。
後から入った俺は、タオルで髪を軽く拭きながら、その仔猫のような姿に笑みが零れた。
「ほんとに、仔猫だな…」
そう呟いた後、そっと彼女の事をお姫様抱っこして、ベッドまで運んだ。
俺と同じシャンプーの香りがしているのに、何故かそれは甘い香りに変わっていて、ついつい食べてしまいそうになる。
俺は、すやすやと眠る彼女の横に体を滑り込ませて、後ろから抱き締めた。
「ん…」
「よしよし…」
起こさないようにそう声を掛けると、にへら、と通常では見られない彼女の表情を垣間見る事が出来た。