【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「良い香り…」
「おぅ。もう出来てるぞ。食べよう」
「はい!」
少しずつ、ほんの少しずつ近付けられる、彼女とのパーソナルスペース。
今は、テーブルを挟んで、向き合っているけれど。
今日は彼女的にイレギュラーな休日。
俺的にはラッキーな一日。
さて。
どうやって、この先を切り崩して行くか…。
悩むべき所でもあり、楽しむべき所でもある。
「なー、水美?」
「はい?」
「…パンくず付いてる」
「え!どこ?!」
「ここ」
くいっ
腕を伸ばして口唇の端っこを拭ってやれば、慌てたようにゴシゴシと自分で口唇を拭いた。
それは、気に食わない。
「水美、やめて。それ。血が出るから…」
「や、え、で、でも」
「慌てるなよ、そんなに。からかってなんかないだろ?」
たかがパンくずを払っただけで、そんなにドキドキされたら、この先…本気で思いやられる…。
「だって!私こんなの慣れてないですもん!」
「じゃあ、俺で慣れればいいよ」
「…へ?」
「俺で、慣れれば…いい」
「ちょ、瑛飛さん!まだ私食べてる途中!」
「だめ。耐えらんない。キスさせて?」
「や、」
「何時になったら水美から、『して』って聞けるんだろ
ろ…」
「そんな事、一生言いませんよ!」
「じゃあ…俺から言う。……水美、…して?」
「…、っ……、」
自分で言いながら、彼女の腕を引っ張って、腰を浮かせた。
カツン、と落とされたフォーク。
ぎゅっと瞳を閉じる彼女。
啄むように、キスをして俺は彼女の抵抗する力を溶かしていった。