碧眼の副社長は愛をささやく
「アヤノはうちの凄腕デザイナーでね」

「デザイナーなのですか?」

エリックさんの目が驚きで見開かれる、
私はエリックさんの訛りのない日本語に驚いていた。

「綺麗な女性だろう、気配りもでき、仕事できる、
会社では『完璧な女』なんて言われているんだ」

「どんでもないです」

部長の言葉に驚いて、顔を赤くして下を向く。

「確かに綺麗な女性ですね、お会い出来て光栄です」

下ばかり見ていても、おかしく思われるので、
勇気を出して、彼の顔を見る。


視線が合う。


穏やかな笑顔、心臓がどきどき言って、少し苦しいぐらい。

「エリックは宝石会社の副社長でね、
 今度うちでも広告を作る事になっているんだ」

「御社に依頼できた事は、幸運でしたよ」

そんな部長とのやり取りを聞いている。


宝石会社・・・副社長なんだ・・・・


「そろそろワインを配りにいかないと」

本当なら、もっと彼の事を知りたい、話したい、
そんな誘惑を感じながらも、
本来の仕事をさぼる訳にもいかず、切り出す。

「ほら、仕事熱心だろう」

はははと豪快に部長が笑う。

ぺこりと礼をして、その場を離れた。
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