碧眼の副社長は愛をささやく
エリックの部屋で、存在感を放っていた、赤い椅子に座って、
ジュエリーの本を手に取る。

私は、英語もフランス語もできないので、
何が書いてあるかはまったく分からないが、
綺麗なジュエリーが載っている本は、見ているだけで楽しく、
集中してしまう。

コンコンと包丁がまな板を叩く音がする。

「欲しくなってくる?」

私が、ジュエリーの本を手にしてると知って、エリックが問いかけてくる。

「欲しい、と言うよりは、デザインかしら、
 モチーフとして利用できないかとか」

「デザイナーらしい意見だね」

声は柔らかく、とても楽しそう。

私は再び、本に集中した。
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