碧眼の副社長は愛をささやく
温泉旅行
エリックと一晩過ごした日、
私の髪をもてあそびながら、エリックがぽつりと言った。

「ドライブ、行けなかったね」

「もう泊まりでもいいわよ」

「本当に?」

その言葉に、こくりとうなずく。

「どこか行きたい所ある?」

「そうね・・・エリックもずっと運転だと疲れるし、
 電車で温泉地なんてどうかしら?」

「なら、温泉地にしましょう」

「美人の湯がある所がいいわ」

「これ以上綺麗になってどうするの?」

「まだまだ、女を磨くの、それにお肌つるつるは、魅力的なのよ」

エリックが、髪にキスしながら答える。

「宿予約しておくよ、綾乃が一気に積極的で、嬉しいよ」

「積極的・・・」

違う?とエリックが首をかしげる。

その言葉には、顔を背けるだけで答えず。

「宿、よろしくね」

とだけ答えた。
< 58 / 88 >

この作品をシェア

pagetop