碧眼の副社長は愛をささやく
夕飯も部屋に運んでもらい、2人きりで味わった。

海の幸をふんだんに使った料理は豪勢そのもので、
お刺身の盛り合わせに感動してしまった。

「美味しい、幸せ~」

そんな私をエリックは見ている。

「どうしたの?」

「出会ってすぐの時、ホテルでディナーしたでしょう」

「ええ」

「あの時は、ぴしりとしていて、マナーも完璧で、
 聞いていた通り、『完璧な女』と言う感じだった」

懐かしそうに、語るエリックを見つめる。

「今は『完璧』と言うより、リラックスしていて、
 本当の綾乃なんだと感じられる」

「エリック」

「どっちも綾乃なんだけどね、嬉しいんだよ、
 僕に心を許してくれているって事が」

「エリックは?心を許してくれている?」

「もちろん、素の自分だよ、
 ただ、男だから、少しかっこつけたいとは思っている」

「駅弁でうきうきしてたのに?」

うっと、エリックがつまる。

「かっこ悪かったかな?」

「そんな事ないわ、今のエリックの気持ちと一緒よ、
 どんなエリックも好きよ」

「綾乃、君にとって、ずっと魅力的な男でありたいんだ」

青い目で、優しく、でも真剣な声で語られる。

そんなエリックにどきどきしながらも、料理に箸を伸ばした。
< 66 / 88 >

この作品をシェア

pagetop