碧眼の副社長は愛をささやく
エリックの部屋に向かう途中、車の中で、事のあらましを全て話した。

「ローラのいたずらだったんだね」

妹のローラは、まだ目に涙をためたまま、ふいと顔をそらす。
そんなしぐさも可愛く、憎めない。
そうしているうちにエリックの部屋に着いた。
エリックは人数分の紅茶を入れる。

「ありがとう」

そう言って、軽く口づけを交わす。
そんな2人を、ローラはふてくされた顔で見ている。

「なんだかよく分からない指輪はあるし、びっくりしたよ」

ローラが驚いた顔をして、エリックに掴みかかる。

「婚約指輪じゃないの?」

「ちがうわ」

「プロポーズしてないの?」

「一応したかな・・・と言うかされた?」

「されたって何!?」

妹の勢いに、エリックはたじたじになっている。

その後は兄と妹で、フランス語での言い合いになり、しばらくした後。

「綾乃、ちょっとまってて」

と、慌てた様子で、部屋を出て行った。
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