私、今日からお金持ち目指します?
「お前、昔から眼鏡女子に弱いからなぁ」
「放っとけ!」
「今度はまとまるといいな」

――ということは、いつもはまとまらない、ということ?
社長なのに? イケメンなのに? どんな欠点があるのだ!

「下条さん、誤解しないでくれ! 俺は変態じゃないよ」

木佐社長が慌てたように言う。どうやら私の目が“変態?”と言っていたようだ。

「俺の初恋の君がメガネっ娘だっただけ。でも、理想と現実が食い違い……」
「成就しないんだぁ」
「コイツ、夢見る乙男なんだよ」

上条勝利がヤレヤレというように言うと、「それはお前の方だろ! 初恋の……」と言いかけた木佐社長の後頭部をバシンと上条勝利がぶっ叩く。

「痛てぇ、何するんだ!」
「無駄口の報いだ!」

フンと上条勝利が鼻を鳴らし、「行くぞ!」と私の手を取ろうとするのをサッと避ける。

「先ほど申されていましたね。選ばれる側ではありません。選ぶ側に立ち、男性を大いに翻弄して下さい……と」

「そっそれは」と珍しく上条勝利がしどろもどろになる。

「ですので、大いに翻弄させて頂きます」

ニコッと笑みを浮かべ、呆気にとられている彼を残し、その場を後にする。

気持ちいい!
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