私、今日からお金持ち目指します?
「うわぁ! 弥生、最高に綺麗だ!」

だが、パートナーの登場と共に、アレだけヘロヘロだった人たちがピンと背筋を伸ばし淑女になる。これには驚いた。

セミナー参加者は、皆、化け物ではないだろうか、と思ったほどだ。

「上手に化けたな」

ん、と振り返ると……プリンス仕様の上条勝利が立っていた。

「キャーッ」とまたしても奇声が上がる。
怜華嬢と美麗嬢もだが、その場にいる女性も男性も目がハートだ。

「マリーアントワネットをイメージしたのか? 髪がモリモリしている」

もうちょっとマシに褒められないのか、とムッとしながら言ってやる。

「上条さんも、お伽の国の王子ですか?」

嫌味を言ったのに、「らしいね。美容師がそんなことを言っていた」とシレッと応える。

クーッ、何となく敗北を感じるのは気のせい……ではない気がする。

そこに「勝利様!」と怜華嬢と美麗嬢がパタパタと飛んでくる。
その後を付いて歩くのは、今日、二人をエスコートするお相手だろう。なかなかのイケメンだ。

「勝利様、お写真一緒に撮らせて下さい」

だが、やはり二人のお目当ては上条勝利。本当、ブレない二人だ。
しかし、二人の頼みを上条勝利はキッパリ断る。

「木佐社長が申していたと思います。決まったカメラマン以外、写真を撮ってはいけないと」
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