私、今日からお金持ち目指します?
「意味が分かりません! 理解不能です!」

もう、と繋いだ手を離そうとするが、彼の力が強すぎて、まったく歯が立たない。ジタバタと地味に抵抗する私の横で、上条勝利が余裕の表情で言う。

「君は俺の言葉を今の今まで忘れられなかったんだろ? それの意味するところは、君は俺に惚れていたんだよ。君は心の奥底でずっと俺を求めていたんだ」

呪いの言葉? シミシミと彼の勝手極まりない言い草が、私の心に染み入り、反論したいのに……そうだったのかも、と魔法にかかったように思ってしまう。

確かに、言われてみれば、王子様のような彼の口から発せられた言葉だったから傷付いたのかもしれない。

要するに、私もあの時、彼に一目惚れした、ということ!
エッ!と自分の考えに驚き、固まる。

「分かったようだね。俺と君はずっと両思いだった、ということだ」

上条勝利は勝利を確信した勇者のように、フフンとドヤ顔になる。
その顔が無性に憎らしい!

グッと噛み締める唇を、上条勝利の親指がなぞり言う。

「悔しそうだな。そんなに俺が嫌いか?」

上条勝利が覗き込むように顔を近付ける。

「ちっ近いです。離れて下さい」

彼の顔を避けるように横を向く。
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