私、今日からお金持ち目指します?
「やっと君がこっちを向いた。嬉しいよ。分かった。君への愛が本物だと分からせてあげるよ」

鼻歌でも歌いそうなほど陽気に言いながら、上条勝利が唇の端をニヤリと上げ、青になったのを確かめ発車する。

何だ、この悪い笑みは!

「先に言っておくが、俺を本気にさせたのは君だ。容赦はしない。覚悟しておくんだね」

そして、脅迫まがいの恐ろしい言葉を吐く。

覚悟って……? 背筋を冷たい汗が流れる。もしかしたら私は、とてつもなく厄介な挑戦を、彼に挑んだのではないだろうか?

後悔先に立たず。イヤイヤ、私は平和主義だ。

「えっと、今のナシと言ったら、ダメですか?」

挑戦を無きものにしようと考えたが、即座に「却下」と上条勝利が拒否する。
――やっぱり……。

「武士に二言なし、と言うだろう」

否、私は武士ではない!

「まぁ、本当はそんな挑戦を受けなくても、積極的に迫るつもりだったけどね」

上条勝利の高笑いが車中に響く。
クーッ! おちょくっているのか。何という性格の悪さ、最低だ!

「本当に君は面白い」
「私は面白い人間ではありません!」

セミナーへの参加が……否、上条勝利が、今までとは全く異質な私にしたのだ。
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