私、今日からお金持ち目指します？

「それは君が思う君であって、他人から見れば全く違う」
「でも、自分のことは自分が一番知っています」

「そうかもしれないが」と上条勝利は肯定しながらも否定する。

「自分のことを一番分かっていないのもまた、自分だ」

LEDライトの街頭が車中を照らす。そのたびに、オレンジ色の灯りが彼の横顔に当り、深い陰影を作る。本当に綺麗な顔だ。

「人は他人と関わるうちに、自分でも知らない自分を見つけ、成長する」

その横顔に魅了される。

「君を縛っていた過去の僕の言葉は、現在の僕の言葉で解放される」

ボンヤリ見つめながら、どんなに抗ったとしても、彼から逃れることはできないだろう、と頭の片隅の私が言う。

「冬夏、君は本当に綺麗だ。悪いが、他の誰にも渡すつもりはない」

そして、蕩けそうなほど甘い言葉に、結局……墜ちてしまうのだ、と私が私に向かって皮肉な笑みを浮かべる。

「真の自由人になるため、俺は君を側に置く。俺にとって君は羽だ。君の存在が俺を自由に羽ばたかせる」

これほどの男が、そんなことを言い切ってしまっていいのだろうか……？

「たった六回ですよ、再会してから……」
「それが運命というものだ。違うか？」