私、今日からお金持ち目指します？

「なぜ初対面の彼女が意中の彼女になるのだ、と君は言いたいのだね？」

コクコクと木佐社長は頷く。

「皆さんもご存じの通り、僕は我が儘者で、セミナーの参加者に履歴書を提出してもらっています。僕は履歴書の彼女を見て、一目惚れしてしまったのです」

本気のような冗談のような台詞を上条勝利が宣う。
いったい、これはどういう展開なのだろう……？

「でも、今日の態度は……」
「酷かった、と言いたいのですね？」

美麗嬢の悲痛な言葉を上条勝利が引き継ぎ答える。

「男性の性です。好きな子ほど苛めたくなる、というね。僕の恋愛は小学生並みかもしれません。仕事にかまけ、遠ざかっていましたから」

「ちょっと、下条さん！　貴女固まっていないで何か言いなさいよ！」

怜華嬢の金切り声が聞こえるが、何と答えたらいいのだ！
それよりも、と肩を抱く上条勝利を見上げる。

「黙って従え！　二人のためにも」

彼が耳元でそう囁いたのだ。
二人とは山下さんと日下部さんのことだろう。

「彼女の意思は関係ありません。このセミナー中に落とさせて頂きます」

彼のいきなりの宣言に、その後、会場中が上へ下への大騒ぎになったのは言うまでもない！