私、今日からお金持ち目指します?
誰あろう、当日誕生日を迎えたアイツだ!
いま思い出しても腹が立つ。
奴は言った「君、ヘアスタイルと洋服と、顔を含めた全身がアンバランスだよ」と。
当時、六歳の私はショックを受けた。言葉の意味はイマイチ理解不足だったが、幼いながらに、褒められていない、と分かったからだ。
あれから私は自分に自信が持てなくなった。
それはそうだろう、王子のような美形の男子に屈辱を受けたのだから……。
それ以来、お洒落をしても無駄だと思い、内に籠もり、小説や漫画の世界に生きた。時々、店に駆り出されなければ、完璧に引きこもりのオタクになっていただろう。
一つ思い出すと次々に蘇る過去。
あの時のアイツは……確か……。
『しょうり、十三歳のお誕生日おめでとうぉ!』
……しょうり……勝利……。
「うわぁ!」
「なっ何!」
私の叫び声に母が飛び跳ねる。
「アイツだ! 上条勝利!」
「何? 上条さんがどうかした?」
「あぁぁ!」とまた叫ぶ私に、「ちょっと落ち着きなさい」と今度は驚きもせず、穏やかに母は私をたしなめる。
「お母さん、上条勝利のこと知っていて、あのセミナーに申し込んだでしょう!」
何を言っているの、と言うように母が言う。
「彼は著名な人物よ。知っているに決まっているじゃない」
「じゃなくて、個人的に!」
「あら」と母がニッと口角を上げる。
「もうバレちゃったの?」
いま思い出しても腹が立つ。
奴は言った「君、ヘアスタイルと洋服と、顔を含めた全身がアンバランスだよ」と。
当時、六歳の私はショックを受けた。言葉の意味はイマイチ理解不足だったが、幼いながらに、褒められていない、と分かったからだ。
あれから私は自分に自信が持てなくなった。
それはそうだろう、王子のような美形の男子に屈辱を受けたのだから……。
それ以来、お洒落をしても無駄だと思い、内に籠もり、小説や漫画の世界に生きた。時々、店に駆り出されなければ、完璧に引きこもりのオタクになっていただろう。
一つ思い出すと次々に蘇る過去。
あの時のアイツは……確か……。
『しょうり、十三歳のお誕生日おめでとうぉ!』
……しょうり……勝利……。
「うわぁ!」
「なっ何!」
私の叫び声に母が飛び跳ねる。
「アイツだ! 上条勝利!」
「何? 上条さんがどうかした?」
「あぁぁ!」とまた叫ぶ私に、「ちょっと落ち着きなさい」と今度は驚きもせず、穏やかに母は私をたしなめる。
「お母さん、上条勝利のこと知っていて、あのセミナーに申し込んだでしょう!」
何を言っているの、と言うように母が言う。
「彼は著名な人物よ。知っているに決まっているじゃない」
「じゃなくて、個人的に!」
「あら」と母がニッと口角を上げる。
「もうバレちゃったの?」