私、今日からお金持ち目指します?
「そしたら、セミナーの後、皐月ちゃんから連絡があって、勝利君と貴女、結婚するっていうじゃない! もうビックリよ」

ガクンと顎が外れたように口が開く。
それは当の本人もビックリだ!

「でも、貴女は何も言ってくれないし……」

当然だ、セミナーの内容以外、何の話もないのだから。

「冬夏にも色々と思うところがあるのだろう、と冬彦さんと相談してソッとしておくことにしたんだけど、色々バレちゃったし、もう聞いても良いわよね? で、どうなの?」

否、話すことなど何もない。
気を取り直して、全否定する。

「一切、無いから」
「無いって何が?」
「結婚とかそういうの」

「エーッ、でもぉ」と母が唇を尖らせ、「勝利君本人が、皐月と勝一さんに冬夏との結婚宣言したのよ」と爆弾を落とす。

いったい何がどうなって、こうなったのだ? 狐につままれたようで訳が分からない。

「何だか私の与り知らぬ間に、変な方向に話が進んでいるようだけど、とにかく、ちょっと行ってくる」

そうだ、上条勝利と話さなければラチが開かない。

「店の継続云々はそれから! お父さんもお母さんも、気弱なことを言っていないで、もう少し奮起して!」

そうだ、きっと父は客離れで気弱になっているだけだ。店が前のように繁盛したら、まだまだ頑張ろうという気になるだろう。

ヨシ! と気合いを入れ、私は家を出る。
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