私、今日からお金持ち目指します?
ホテル『KOGO』までの道すがら、あの日のことを思い返す。

日下部さんのご両親を諦めさせるために、私にアタックすると宣言した上条勝利だったが……。

「こりゃ、イイ!」と声高らかに宣言した後、会場を見渡し彼はほくそ笑んだ。そして、セミナーが終わると私を控え室に呼び出し言った。

「僕はウンザリだったんだよ。僕狙いでセミナーに参加する輩が」

しかし、そういう輩をお宅も利用価値がある、と思っていたのでは、と心の中で突っ込んでいると……。

「奴らは生温いんだよ! アピールするならもっと貪欲に仕掛けないと、全然、対抗する気が起こらない」

まさかのウエルカム発言。

「おそらく、僕が君にモーションを掛けるほど、周りは焦って仕掛けてくるだろう。そして……利はこちらにある。ヨシ! 冬夏、僕は本格的に君を落とす。だが、君は、何があっても、セミナーが終わるまで落とされるんじゃないぞ」

冬夏? 呼び捨て? 否、今はそこが問題ではない!
何を勝手なことを言っているのだ、と思っていると……。

「これは、日下部さんと山下君のためでもあるんだよ。二人の未来が失くなるか、バラ色になるかは君次第だ」

そう言って脅された。落とされる気はサラサラないが……。
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