私、今日からお金持ち目指します?
微かに漂うムスクの甘美な香り。腕の主を見上げると上条勝利だった。
なっなんだ!
彼がムッとした顔で言う。
「伸照、冬夏は俺のだから。ちょっかいを出すな!」
「“俺”ねぇ」
木佐社長が含み笑いを浮かべる。
「冬夏、木佐社長には気を付けろ。こいつは真面目な顔をしているが相当な遊び人だぞ」
ヘーッ、そうなんだ……じゃない! 怜華嬢と美麗嬢が睨んでいるではないか! 怖いので離して下さい、と身をよじるが、上条勝利の腕は離れない。
「それから言い忘れていたが、今日の装いは、先日とは雲泥の差だ。とても綺麗だ」
きっ綺麗! どういう風の吹き回しだ。何かの罠か?
「もしかしたら、その姿を僕に見せたいがために遅刻したとか?」
どこまでも自己中男だ、と思いながら激しく頭を横に振る。
「お褒めの言葉恐縮ですが、全く違う理由で遅刻いたしました」
「だから、理由は?」
「イイじゃありませんか、今さら」
途端に彼の顔がムッとする。
「これはこれは、勝利に楯突く女なんて初めて見た。とても新鮮だ」
カラカラと笑う木佐社長を、上条勝利がジロリと睨み言う。
「こういう女だから、口説いているのだ」
嗚呼、なーるほど、と気付く。アレもコレも全て例の芝居ね、と納得するが、ハイスペックイケメンに迫られるって……。
色々大変! セミナーが終わるまでに、精も根も尽き果てるかも、と哀れな我が身を想像し溜息を零す。
なっなんだ!
彼がムッとした顔で言う。
「伸照、冬夏は俺のだから。ちょっかいを出すな!」
「“俺”ねぇ」
木佐社長が含み笑いを浮かべる。
「冬夏、木佐社長には気を付けろ。こいつは真面目な顔をしているが相当な遊び人だぞ」
ヘーッ、そうなんだ……じゃない! 怜華嬢と美麗嬢が睨んでいるではないか! 怖いので離して下さい、と身をよじるが、上条勝利の腕は離れない。
「それから言い忘れていたが、今日の装いは、先日とは雲泥の差だ。とても綺麗だ」
きっ綺麗! どういう風の吹き回しだ。何かの罠か?
「もしかしたら、その姿を僕に見せたいがために遅刻したとか?」
どこまでも自己中男だ、と思いながら激しく頭を横に振る。
「お褒めの言葉恐縮ですが、全く違う理由で遅刻いたしました」
「だから、理由は?」
「イイじゃありませんか、今さら」
途端に彼の顔がムッとする。
「これはこれは、勝利に楯突く女なんて初めて見た。とても新鮮だ」
カラカラと笑う木佐社長を、上条勝利がジロリと睨み言う。
「こういう女だから、口説いているのだ」
嗚呼、なーるほど、と気付く。アレもコレも全て例の芝居ね、と納得するが、ハイスペックイケメンに迫られるって……。
色々大変! セミナーが終わるまでに、精も根も尽き果てるかも、と哀れな我が身を想像し溜息を零す。