私、今日からお金持ち目指します?
おや? おやおや? ということは、伝言ゲームのように伝わった内容で、我が母は、私が上条勝利と結婚すると思ってしまった、ということ? 何と人騒がせな!

「君も!」

上条勝利の鋭い視線がギッと私を見る。矛先が回ってきたようだ。

「君のポーカーフェイスは国宝級だ。体調が悪いなどと、全く悟らせなかった。具合が悪いなら、ちゃんと言葉にしろ!」

でもですねぇ、花粉症でさえ私を避けて通り過ぎるぐらい病気知らずの私。熱なんて出したことが無いので、当の本人が悟れませんでした、と言ったら……きっと、ふざけるな! と言ってど突かれるだろう。

「今日はもう遅い」

フーツと息を吐き、「ここに泊まっていきなさい。じゃあ」と上条勝利が話を打ち切ろうとする。

遅いって、と不思議に思いながら、何気なしにサイドテーブルに目をやる。午後十時十二分! 備え付けのデジタル時計の数字を見て驚く。

「あっ、そうだわ。夜も遅い時間だけど、お腹空いていない?」

皐月さんが明るく言う。そう言えば、お昼のお弁当も、珍しく残しちゃったし……。

「今、お粥を炊いているの。ちょっと待っていてね。持ってくるから」

パタパタと皐月さんが部屋を出て行く。
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