私、今日からお金持ち目指します?
「……あのぉ、すみませんでした。ご迷惑をお掛けしました」

上条勝利と二人だけの空間に居たたまれず、思わず言葉を掛ける。

「全くだ! いい大人なのだから、体調管理ぐらいシッカリしろ!」

怒ったような彼の言い方に、不覚にも涙が溢れる。

病気は体だけではなく心も弱くすると言うが、本当だ。
彼に見つからないように、布団の端で涙を拭う。

だが、彼の目ざとさの方がタッチの差で早かったようだ。
さっきまで皐月さんが座っていた椅子に彼がドカリと腰を下ろす。

「怒ったわけでは無い」

前屈みになったかと思うと、優しく私の頭を撫でる。

「君が心配だったから……つい、口調がキツクなった。すまない」

……この人誰? 嘘でしょう! 俺様、何様、上条様な上条勝利が謝った!

夢でも見ているのかと、頬を抓る。
痛い! 夢じゃない。

「何を呆けている! また熱が上がってきたのか?」

慌てたように、上条勝利は頭に置いた手を額に持っていく。

「あっ、だっ大丈夫です。ちょっと意外だったので……」
「何がだ!」

わっ、俺様に戻った。

「いえ、上条さんが人間だったので」

あれ? 言い間違えた?
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