私、今日からお金持ち目指します?
「人間じゃなかったら何だと言うのだ!」

ムッとする上条勝利。

「えっと……妖怪? サターン? 否、それはあまりにも可哀想か……」とブツブツ呟いていると、とうとう彼が切れる。

「下条冬夏、お前、いい加減にしろ! 奥歯を噛み締めろ!」

ウワッ、殴られる、と思わず目を瞑る。

……と、ん? 何これ? 唇に触れる柔らかな温もり……パチンと目を開けると、上条勝利の……どアップ!

私の視線に気付いたのか、彼の瞳も開かれる。
五センチと離れていない距離で見つめ合う瞳と瞳。

彼の目がニヤリと笑い、ゆっくり離れる。

「どっどどどど」
「どうしてキスなどしたか、と問いたいのか?」

コクコクと頷くと、「アピール?」と質問返しでシレッと答える。

「それと、ここまで運んでやった礼を貰った」

礼! アピールって何だ!

「君、全然、僕になびかないから、ちょっと強引に進んでみようかなってね、作戦を変更してみた。あっ、でも、今ので風邪が移ったら、今度は君が僕を看病しろよ」

作戦って……看病って……何を可愛子ぶっているのだ。ふざけているのか? でも……。
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