私、今日からお金持ち目指します?
「風邪?」
「ああ、かかり付けの医者に往診してもらった」

そんなことまでしてくれたの! ならキスぐらい、と思いかけ……。
違ぁう! それとこれとは次元が全く違うだろう。

危うく乗せられるところだった、と上条勝利を睨む。

「なら、私より、美人看護師に看護してもらった方が、早く完治するのでは?」
「美人の看護師なんて治るものも治らないだろ、ソワソワして」

いけしゃあしゃあと何を言うだ!

フン、どうせ私の看病ではソワソワしませんよ、と思い、あれ? と考える。私は何を苛立っているのだ? もしかして、彼にソワソワして欲しいのか?

嗚呼、ダメだ……どうも熱のせいでトンチンカンなことばかり考える。

「もう、出て行って下さい」

そうだ、この男がここにいるから悪いのだ、と追い立てるように言う。

「ご心配なく。さっきの行為は事故だと思っておきますから」
「何が事故だ! アレはキスだ!」

何を宣言しているのですか!

「それって、私に殴られたい、と言っているのですか!」
「なぜ殴られなくてはいけないのだ? 初めてと言うわけではないだろう?」
「……初めてだったんです!」

……あれ? 何でこんな告白をしているのだ? 熱か! 熱のせいなのか!
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