私、今日からお金持ち目指します?
「挙手している人たちは、何だかんだ理由付けをしているが、結局、怖いのでは? 未だ見たことのない、想像もできないその場所に行くことが……」

「どうです?」と手を上げてている人たちに目を向ける。
ザワザワと会場の空気が揺れる。

確かにそうかもしれない。行きたくない、という気持ちは、着る物もだが、想像を超越するパーティーに怖じ気づいているからかもしれない……。

「では、あなた方が心配されている問題は全て解決済みだと言ったら?」
「どういうことでしょう?」

質問に答えず、上条勝利が「木佐社長、どうぞ」と出入り口の方に声を掛ける。
スッとドアが開き、現れたのは……当の木佐社長だった。また、携帯?

「当日のドレスとタキシードのレンタル先は既に手配済みです。お勤めの会社への連絡も済ませてあります。パーティーの前後五日間、有給扱いにして頂きました」

「嘘でしょう!」と巴女史が声を上げる。
その驚きは当然だ。上条の名で会社に圧力でもかけたのか?

「しかしやなぁ、五日間も休むと……仕事が遅れる。私が働かんと家族が困るんや」

京言葉の男性が切実に訴える。この人は……確か民芸品を作っていると言っていた会社の社長さん。そうだ、籠目(かごめ)さんだ。
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