君とだけ 、キス
絞り袋に生クリームが入り、スポンジがまるで化粧するように飾られていく。
「 修吾、あのね… 」
「 おー!初めてだな、名前呼んだの 」
「 え、そんな事ないでしょ 」
「 いつも “あんた”だったろ 」
あ、まぁ… そうかも。
そう言われるとちょっと… 緊張するなぁ
「 苺、ちょっと貰おうぜ 」
「 いいの? 店のでしょ 」
「 クリームつけて… ほら、食べて 」
それ、あーんしろって?
ん~……
少し躊躇して、唇を開けて…
苺についたクリームを修吾がベチャッとわざとつけてきた。
「 ちょっと… 何すんのっ 苺食べ… んっ 」
生クリームのついた唇に修吾の唇が重なり、目を閉じた。
口溶け甘く、溶けてなくなる……
好き……
「 待たなくて、いいよ 」
「 なんで?」
「 いいの 」
とっくに私は修吾のだよ。
自分からキスを、修吾に。
それが私の気持ち。
次はちゃんと言うよ、好きって……
だから今は…… キスしたい。
_完_