君とだけ 、キス

開いた口が、閉じない。

修吾は指でケーキを摘み食い。

勝手に頷き、勝手にブツブツ呟いている。



「 英、店行くか、今日は定休日だから誰もいないしな 」



腑抜け状態の私は修吾に連れられて来た。



「 俺が勤める店、オーナーは兄貴 」



その店は、女子に人気のケーキ屋でした。

私も買ったことがある、真波と……

しかも月に一回あるケーキバイキングがさらに人気で予約しても半年先。



まさか、コイツがパティシエとは……

見えなさすぎる。


キスはね、上手だとは思う。



「 ほんとに… ケーキ作る人なんだ 」

「 見えないだろ 」

「 まったく、一ミリも見えない 」

「 おい~ 」



ふと聞いてみたくなった。

あの日、なぜ罰ゲームでキスしたのか……



「 ねぇ、何の賭けの罰ゲームだったの?」

「 あ~ あれか、あれは店でやったビンゴゲームだよ、最下位が知らない女にキスするって言う兄貴決定のやつ。
だから、たまたま英だっただけ… 」



たまたま私だった、か……

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