君の思いに届くまで
5章
5章
琉は優しい眼差しをこちらに向けたままティカップを傾ける。
「ヨークでは、カフェにはよく行きました」
「気に入ったカフェはあった?」
私は紅茶をゴクンと一口飲んだ。
「good luckっていうカフェがとても素敵で。ご存知ですか?」
琉の目をしっかり見つめながら、手にもったカップをぎゅっと握りしめた。
「good luck?」
呟くように反復しながら自分の足下に視線を落とし、必死に何かを思い出そうとしているような表情をした。
その表情はとても苦しそうで悲しみの色が浮かんでいる。
私は琉をそんな風に試しながらひどく傷付けているような錯覚に陥った。
「ご存知ないなら別に構わないです。私が今まで行った中では一番素敵だったっていうだけですから」
その横顔を見てるのがつらくて思わず琉の思考を遮ろうとした。
琉は視線を落としたまま、こめかみに手を当てた。
「いや、知ってるような気がするんだが・・・店内の様子はどんな雰囲気なんだろうか?」
「扉の向こうに下に続く階段があって、天井の高い洞窟のような空間が広がっています」
「下に続く階段、洞窟・・・か。随分薄暗い感じ?」
「はい。薄暗いですね。そこのチョコケーキが名物でとてもおいしいんです。紅茶とよく合って」
琉に教えてもらったことをそのまま伝えた。
琉は優しい眼差しをこちらに向けたままティカップを傾ける。
「ヨークでは、カフェにはよく行きました」
「気に入ったカフェはあった?」
私は紅茶をゴクンと一口飲んだ。
「good luckっていうカフェがとても素敵で。ご存知ですか?」
琉の目をしっかり見つめながら、手にもったカップをぎゅっと握りしめた。
「good luck?」
呟くように反復しながら自分の足下に視線を落とし、必死に何かを思い出そうとしているような表情をした。
その表情はとても苦しそうで悲しみの色が浮かんでいる。
私は琉をそんな風に試しながらひどく傷付けているような錯覚に陥った。
「ご存知ないなら別に構わないです。私が今まで行った中では一番素敵だったっていうだけですから」
その横顔を見てるのがつらくて思わず琉の思考を遮ろうとした。
琉は視線を落としたまま、こめかみに手を当てた。
「いや、知ってるような気がするんだが・・・店内の様子はどんな雰囲気なんだろうか?」
「扉の向こうに下に続く階段があって、天井の高い洞窟のような空間が広がっています」
「下に続く階段、洞窟・・・か。随分薄暗い感じ?」
「はい。薄暗いですね。そこのチョコケーキが名物でとてもおいしいんです。紅茶とよく合って」
琉に教えてもらったことをそのまま伝えた。