君の思いに届くまで
ヨークにつくと、マミィはしっかりと私を温かい胸に抱きしめた。

「よく来たわね、まだかまだかとダディと話してたのよ」

マミィはちゃめっけたっぷりにウインクして見せた。

いつも無口でクールなダディも嬉しそうな顔で私を出迎えてくれた。

不思議とマミィの家は落ち着いた。

まるで自分の家に帰ってきたみたいに。

夜ご飯は、私の大好きなビーフシチューとマフィンを作ってくれている。

「これ食べたかったんだ」

私はマフィンをシチューにつけて口に頬ばる。

ほんのり甘いマフィンとじっくり煮込んだデミグラスが絶妙だ。

「ヨウは、本当においしそうに食べてくれるから作りがいがあるわ」

そう言いながら、マミィは私の肩を叩いて追加のマフィンを取りにキッチンへ戻った。

夜、マミィと二人きりで話す。

マミィだけが知ってる琉と私のこと。

１年前、琉の元から逃げるように帰って来た私を、責めるわけでも叱るわけでもなくしっかりと温かい胸で抱き留めてくれたマミィ。

私が泣きながら話すことをただ「うんうん」と微笑みながら聞いてくれた。

絶対叱られると思って帰ってきたのに、マミィは少しも叱ることなく私の気持ちに寄り添ってくれたっけ。

「あの時はマミィがいてくれなかたら、私どうにかなってたかわからない」

マミィの肩をもみながらそんなことを伝えた。

「そんなことないわ。私がいなくたってヨウはちゃんと一人で帰ってこれた。それだけでも立派だわ」

「ありがとう。マミィ」

私はそう言うと、肩をもんでいた手を止めて、背後からぎゅっと抱きついた。

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