セルロイド・ラヴァ‘S
自分で自分を評価するなら。保科さんの隣りに立つには十人並みだと思う。他人からは『綺麗』より『可愛い』の褒め言葉の方が多いし、華やかに目立つタイプじゃない。

お化粧だってナチュラルで服装も特に拘りなんてない。他人の目に年相応に映ってるかぐらいの基準だ。取り立てて若く見せたいとか、無理にオトナの女を演出したい願望もない。

だから保科さんが私の何をどう感じたのか。・・・好意を持ってくれているらしいという事実が少し、・・・あまり現実味を帯びない。

だから。

お店のその奥に、彼のプライベートエリアに、誘われるままに足を踏み入れた。緊張はしていた。・・・けれど保科さんを知りたい欲求に支配されてる自分に抵抗もしなかった。

何かが始まるかも知れない。始まらないかも知れない。たとえ。一夜限りの泡沫(うたかた)の夢になったとしても。私はそれでも良かった。



永遠を求めてはないのだから。 
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