セルロイド・ラヴァ‘S
愁一さんの家に引っ越し、とは言っても。アパートは解約せずに服や日常生活での必需品をほとんどこっちに移動させた形だ。

『帰りたい時は帰っていいし自分だけの城も必要でしょう』

そう言って彼は維持費の負担は自分がと譲らず。それなら、私が消費する食費や光熱費もきちんと払う、とこっちも退かずに。

総合的な支出の比率からアパートの月々の家賃を愁一さんが負担して、それ以外の維持費は私が継続。食費と光熱費は込みで毎月2万円を彼に渡すということで決着した。
  
『睦月のことは僕が責任を持つって意味だから』

ことに家賃に関しては、愁一さんに出してもらうのは筋が違うと首を縦には振らなかった私。躊躇なく言い切られて返す言葉はなく。・・・こんな殺し文句に反論できるスキルも備わってない。とどめの微笑み返しの前にあっけなく観念した。

狙った訳じゃ全然なかったけれど、クリスマスも間近の引っ越しになって。聖夜に舞い降りるのは天使の祝福かあるいは。悪戯好きのサンタクロースが、開けるまで何が入ってるか分からないビックリ箱を落としてくかも。・・・知れない。
 

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