セルロイド・ラヴァ‘S
初詣にも出かけず、二人でずっと家に引き篭もりの新年。のんびり寛いで、というより好きなだけ『ただれた』生活。どっぷり愁一さん漬けになって甘く蕩けてる。

「困ったね。睦月を会社に行かせる気になれないよ」

無駄な肉が付いていない割りにしっかりした腕で、額にかかる前髪を気怠げに掻き上げた仕草が。不意に男っぽくてゾクリとした。

お昼も近いのにベッドで横になったまま。じゃれつくみたいに彼の首に腕を回す。触れ合う素肌感が心地いい。

「・・・私も離れるのイヤ」

「僕のは冗談でもないから」

耳許で妖しく笑んだ気配がした後、体勢を入れ替え今度は私が愁一さんの上。顔を寄せてキスを落とすと、そのまま首元あたりに抱き寄せられる。
 
「もう少しだけ君を自由にさせたら、あまり人の来ない静かなところで二人きりで暮らすつもりだからね。いずれ君は僕に独り占めされる」

髪を撫でられながら頭上で響いた声は。予想図を描いているというより、すでに決定事項で準備も進行中であるかの口ぶりに聴こえた。物言いの柔らかさとは裏腹に、愁一さんは有言実行するリアリスト。出逢ってからのたった数か月で身を以って知ってる。
 
独り占めにしたくて、誰も近付かない野原に私を放そうとするなんて。大胆で思ったより奔放かしら貴方ってひとは。感心したくなってクスリと笑みが漏れた。
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