恋に恋する
連れていってくれたのは、
私たちが昔よくデートした場所だった。
映画館、公園、図書館…
「懐かしい……」
学生だった私たちはできるだけお金をかけずにデートしてた。
一緒にいられる。ただそれだけがとても嬉しくて。
「たまにはこういうのもいいだろう」
お昼ご飯はまさかのファーストフードだった。
そういえば、初めてのデートはファーストフードでランチだった……
最後に連れてきてくれたのは、岡の上にある展望公園。
「ここ……」
「俺たちが付き合い始めた場所。」
景色を眺めながら彼がきいてくる。
「俺、なんて告白したか覚えてるか?」
「えー。覚えてない。」
「そか。そうだよな…」
ウソ。ほんとは覚えてる。
『好きです。付き合ってください。』
ストレートな告白だった。
まっすぐなところは変わらないね。
「そろそろ行こうか。」
「うん。」
自然と手を繋いで歩き始める。