恋に恋する
港につき、乗船する。
ディナーの前に、お手洗いと化粧直しをすませる。
雅樹にきれいって思ってほしくて、念入りになおした。
なんか、今日の私、絶対おかしい……
なんで、こんな乙女みたいになってるだろ。
化粧室を出る。
「美海さん?」
振り向くと会社の後輩の原田くんがいた。
「原田くん?!なんで、ここに?」
「イヤ、あのっ。彼女にプロポーズしようと思って。」
彼が、照れたように笑う。
「そうなの?!
ずっと付き合ってたもんね。ついにかぁ。
うまくいくといいね。がんばって‼」
「はい!!美海さんはデートですか?」
「うん。」
「そうだよ。」
後ろから声が聞こえた瞬間、抱き寄せられた。
「えっ?!ちょっと、雅樹!!」
慌てる私。
原田くんはきょとんとしたあとにこりと笑う。
「はじめまして。美海さんの会社の同僚の原田です。たまたまお見かけしたんで、声かけたんです。」
「美海の夫です。いつも、美海がお世話になってます。」
抱き締めたまま、雅樹が答える。
「じゃぁ、美海さん。デート楽しんでくださいね。また、会社で。」
「うん。原田くんもがんばってね‼」
原田くんが、去っていくと、
「ずいぶん仲良さそうだな。」
「原田くん?同じ部署の後輩だよー。同じ業務担当してたから仲はいいよ?」
「あっそ。」
なんか、怒ってる?
私が遅かったから?
まさか、
やきもち?